きものの楽しみ
和服や毛書(書道)は、かつては日常的で実用的なものでした。今は必ずしも毎日接するものではありませんが、趣味や教養・文化として伝えられています。「日本古来の正式なものである」という思いを多くの人が持ち続け、公式行事やハレの場ではよく使われています。
失われてしまった習慣や文化が多い中で、なぜ和服や毛書は今に伝えられているのでしょうか? さまざまな理由が考えられますが、ひとつは「魅力がある」からでしょう。「便利」「不便」といったことを越えて、人を
京都などの観光地では、和服を着て写真撮影したり散策できるサービスがありますが、外国人だけでなく日本人にも人気です。われわれ日本人にとっても、特別なきっかけがなければ和服を着ることは少なくなっています。
……といった話をしていたところ、御殿場市の観光イメージガール
御殿場市内の集合場所に富士娘がやってきました。富士娘は観光PRや式典などで市内外で活動しています。従来からおこなわれてきたイベント会場でのPR活動などに加え、最近はメディア出演や司会などにも活動の場を広げています。毎年夏に公募(インターネット受付)による富士娘コンテストで2人が選ばれ、任期2年で4人の富士娘が活動しています。(ここに写っているのは3人ですが、のちほど4人全員が集合します)
集合時の服装です。早朝で「すぐに浴衣に着替えるので普段着でよい」と伝えてあったため、この服装です。みなさんいつもは、もっとおしゃれです。
浴衣の着付けをしていただく
内海さんによると衣紋の会という名称は、皇族や貴族などの
「着付け」の技にふれる
着付けと聞くと、普通にきものを着せてくれるものだと思っている人もいるかもしれませんが、着付け師さんそれぞれの技やセンスが活かされています。今回、よい事例があったので紹介します。
この帯は、片面が
山吹色を外に出します。
山吹色が顔をのぞかせアクセントになりました。藍色の浴衣と帯に映えています。なるほど、帯ひとつでこういった見せ方ができるんですね。
正面のようす。山吹色が差し色(アクセントカラー)になり、全体の印象がまったく違っています。メリハリがついて全体がきわだって見えます。
以上はほんの一例ですが、初めてのきものや帯を前にして、見せ方・着せ方を即座に工夫しているんですね。経験やセンスが問われる技といえるでしょう。
着付け完了。
第33代富士娘 土屋穂波さん
第33代富士娘 滝口恭加さん
第34代富士娘 菊地理江さん
第34代富士娘 芹澤春香さん
全員集合!
富士娘に聞いた きものの魅力
きもの(浴衣やその他の和服を含む)の魅力は、どういったところにあるのか、富士娘にたずねてみました。
浴衣は夏の醍醐味
浴衣といえば夏、夏といえば浴衣。浴衣は夏を実感するアイテムです。 【補足】浴衣は元は風呂上りに着る室内着だったと言われ、昭和30年代くらいまでは一般家庭では寝巻でもあったわけですが、今では夏祭りなどに着るおしゃれ着になっていますね。
特別感
きものは「晴れの日のもの」というイメージ。七五三や成人式に晴れ着を着たり、お祝いや式典などで着るので特別感があります。【補足】和服を普段着として着ることがまだ多かった世代(大正生まれくらい)がとても少なくなり、特別な場で着るものになったように思います。
幅広くおしゃれを楽しめる
着こなしや組み合わせによって、さまざまなおしゃれを楽しむことができます。帯や小物を変えるだけでもガラッと印象が違ったり、柄や素材によって個性や季節感も表現できます。【補足】いろんな柄やデザインがあるためか、着こなしに幅があるためか、きものは「他の人とかぶりにくい」という意見もありました。
髪型も楽しめる
きものを着るときは、ヘアアレンジをしたり髪飾りを付けたりするので、それもおしゃれで楽しい。【補足】きものとバランスを取るには、髪に華やかさやボリュームを添えるといいですね。ところで今回、富士娘4人全員が顔の横に「後れ毛」を垂らしていました。示し合わせたわけでなく偶然とのこと。「ふわっ、とした雰囲気になる」という感想や、「小顔効果」を期待してふだんから後れ毛をたらしているという富士娘もいました。2020年時点では「顔の横のおくれ毛が、おしゃれの定番手法のひとつである」ということを書き記しておきます。
振る舞いが変わる
ふだんとは違う振る舞いが似合う。歩き方やしゃがんだり座ったりする動作も洋服とは違ってきて、ひじを体から離さないとか、指を揃えるといった立ち居振る舞いをすると、凛とした美しい動きになる。それが外見だけではなく、内面から美しさを引き出してくれるように思う。 【補足】きものは洋服と比べて動きにくいということもあるかもしれませんが、たしかに着るものに合った身のこなしがありますね。